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速報
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「愛国心」をあおる危険な時代
〜教育基本法「改正」を訴える政治家たち
 政治家たちが「愛国心」をあおる時代はロクなことがない。そのことを私たちは身を切る痛みを持って知っていたはずではなかったか。頭上を飛び交う「愛国心」という言葉を聞きながら、気持ちは暗く沈みこんでいくばかりだった。

 11月29日、東京・日比谷公会堂で開かれた「教育基本法改正を求める中央国民大会」。ここで発言した政治家は、森喜朗前首相、安倍晋三・自民党幹事長代理、民主党の西岡武夫・元文部大臣など。出席した国会議員(代理も含む)は超党派で157人。ハチマキ姿で登壇する政治家たちはやたら威勢が良い。ポン、ポンと言葉が飛び出してくる。
 注意深く耳を傾けると彼らは「愛国心」を連発しながらも、その具体的な中身に触れることはない。安倍晋三氏などのスピーチは論旨も論理も滅茶苦茶である。「援助交際」も何でもかんでも「国を愛する心」を教えない教育に問題があるなどという。

 会場に用意された大会決議(案)は以下のようにいう。
「新しい教育基本法の下において、わが国の歴史・伝統・文化を尊重し、愛国心と宗教的情操とを涵養する教育が行われ、さらに家庭での教育が充実され、もって次代を担う青少年が、明るく誇り高い日本人として育ちゆくことを強く念願するものである」
(ちなみに教育基本法「改正」に賛同する国会議員の数は380名を超えたという。衆参両院の過半数を超える)

 それにしても、政治家たちの言葉はなぜこれほどまでに空疎なのだろう。言葉の向こうに広がるのは荒廃した風景である。どこまでいっても、ぬめぬめととらえどころがない。不気味な感性である。

 ここでは安倍晋三氏と西岡武夫元文部大臣のスピーチをお聞きいただきたい。安倍氏は小泉首相の靖国参拝で中国から中止要請を受けたさい、「とやかく言われる筋合いはない。これからも参拝を続けてほしい」と発言。彼の中には「他者」というものが存在しない。あるのは「小さな自己」だけである。その心根においてあまりに貧相といわざるをえない。
 
 
安倍晋三氏スピーチ   西岡武夫元文部大臣スピーチ

 それにしても、とまた思う。なぜ日本人はこのような形でしか「自我の回復」をはかれないのであろうか。日本を愛するとは自然を愛し、暮らしを愛し、住む人々を愛する、それだけで十分ではないか。「国家」を愛することでしか、「自我の回復」をできない日本の現在は危うい。
 再度言う。「愛国心」などという心地よい言葉へ、身も心もゆだねるようなことがあってはならない。私たちはもっと豊かな「自我」を持っていたはずと思うのである。
(野中章弘)


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