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速報
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ネパール 非常事態宣言! 小倉清子の緊急手記 第34回(05/09/05)

 2月1日、ギャネンドラ国王が非常事態宣言を発し、全権を掌握したネパール。国際電話、インターネットなどの通信は遮断され、カトマンズ在住の小倉清子との連絡も途絶えた。2月8日、ようやく通信が復活。
 通信の切断、治安部隊の出動、反国王派の監禁・拘束など、混迷続くネパールからの現地リポート。



9月3日(土曜日)
 正午すぎ、友人の記者2人から続けて電話がかかってきた。「マオイストが一方的停戦を宣言した」のだと言う。あわててE−メールを開けると、マオイストの党首プラチャンダからの声明文メールが届いていた。確かに、「今日の日付から3ヶ月間、一方的停戦を宣言する」と言っている。「現在、ネパールはその歴史のなかで非常に困難な時代にある」という文で始まる声明のなかで、プラチャンダは「自分の運命と将来を自ら決める権利が国民に与えられない限り、問題は解決しない。そう信じて、われわれは制憲議会の選挙を最小限の要求として掲げたきた。また、民主的共和制(ロクタントリック・ガナタントラ)をとりあえずの解決方法としてきた」と、これまでのスタンスを繰り返している。さらに、「ネパール共産党統一マルキスト・レーニニスト(UML)が制憲議会を方針と決定したこと、ネパール会議派が党則から‘立憲君主制’支持を除去する決定をしたことにより、(マオイストとのあいだの)協力体制を築くうえでの基盤が強化された」とある。そして、「(7政党が掲げている)国会の復活というスローガンでは問題の解決とはならない。(国会の復活を通さずに)直接、暫定内閣を発足させて、制憲議会の選挙を実施すること」を政党側にリクエストしている。そして、「われわれの運動に関して沸き起こっている疑いを消す目的で、この声明を出した日から3ヶ月間、われわれの側から一方的停戦を宣言する」とある。停戦中は彼らの側から攻撃を仕掛けることはないが、政府側治安部隊が武装活動を強化させたり、軍キャンプを増設したりした場合には、攻撃を再開するとも警告している。

 マオイストの一方的停戦のタイミングは、明らかに、ネパール会議派が歴史的な党方針変更をして昨日、党総会を終了したことと関係がある。UML中央委員会が、「民主的共和制を党方針と民主化運動のスローガンとする」と決定し、ネパール会議派が59年の歴史で初めて、党則から‘立憲君主制’を除去したことで、共和制実現が近くなったと判断し、政党側の信頼を勝ち取ったうえで共闘を実現させる戦略なのだろう。マオイストはこれまでにもダサイン祭とティハール祭の時期に一方的停戦をしたことがあり、今回もたまたま祭りのシーズンと重なるが、市民や政党による民主化運動が盛り上がりを見せているなかでの、この宣言はもっと重大な意味をもつ。あるいは、国連総会の開催にタイミングを合わせたものなのかもしれない。以前から国連の仲介での対話を要求してきたマオイストが一方的に停戦した状況のなかで、国王率いる代表団が国連総会に出席すれば、国王の立場は非常に困難なものとなることが予測される。いずれにしても、このタイミングの一方的停戦宣言で、最も危うい立場に追われることになるのは国王だろう。

3日のナヤバネスワルの7政党の集会
 たまたま午後3時から、ナヤバネスワルで開かれることになっていた7政党の集会を見に行く。休日で道路は車が大分少ないにもかかわらず、ビレンドラ国際会議場横の広場は大勢の人で埋まっていた。昨日の党総会終了の集会で、再び(3度目)党首に選ばれたギリザ・プラサド・コイララ党首が「総会が終わっても、運動が成功するまでカトマンズにとどまって、運動に参加してほしい」と党員に呼びかけたせいか、今日の集会には圧倒的にネパール会議派の参加者が多いようだ。ほとんどの旗が赤地に4つ星である。ステージの裏側で、党総会の党首選挙でコイララ党首に挑戦して唯一立候補したナラハリ・アチャルヤと、学生リーダーのガガン・タパが2人で話しをしているところに会った。2人とも、共和制支持を主張して、コイララ党首に目の敵にされてきた話題の人物だ。総会直前にコイララ党首が2人を指して「ダルバリヤ(王室派)だ」という発言をして、話題になった。ナラハリ・アチャルヤにマオイストの停戦宣言をどう思うか聞くと、「ここに来て聞いたばかりだ。テストの可能性がある」と完全には信じていないようだった。総会メンバーとして党総会に出席したガガン・タパに総会の印象を聞くと、「党則から‘王制’を除去して、新しい段階に入ったとはいえるが、まだ完全とは言えない。今後、ネパリーコングレスは国王と妥協すべきではない」と、まだ共和制に対する姿勢があいまいであることに不満であるようだった。集会では7政党の党首が演説した。ほとんどの党首はマオイストの一方的停戦を歓迎していたが、ネパール労働者農民党の党首ナラヤン・マン・ビジュクチェは、「(マオイストが)傷を治すためのものかもしれない」と、疑念を示す発言をしていた。確かに、マオイストは2001年7月から11月までの最初の停戦期間を党拡大と武装強化に大いに利用した。しかし、人民戦線ネパールのアミク・シェルチャン党首は「マオイストを疑ってはいけない」と話し、UMLのマダフ・クマール・ネパール総書記は「もし、マオイストが本当に国民の判断に従うというのであれば、制憲議会選挙、あるいは国民投票を通じて国民の判断を問おう。われわれ7政党はその用意がある。もし、マオイストもその用意があるなら、武器を置いてこちらに来なさい」と呼びかけた。ネパール総書記はさらに、「われわれの民主化運動は民主的共和制の方向に向かう以外に道はない」と話した。ネパール会議派の党首に再選されたばかりのコイララ党首は最後に短い演説をした。そのなかで、14日からニューヨークで開かれる国連総会で、ネパール代表としてギャネンドラ国王が演説をすることになっていることに触れて、「コフィー・アナン事務総長にリクエストしたい。世界中、どの国の国王であれ、国王に国連総会の席で演説する機会を与えないでほしい」と話すと喝采が沸いた。

党総会で再び党首に選ばれたコイララ党首
 さまざまな集会で耳にする演説を聞いていると、運動は確実に共和制要求に向かっている。昨日、パタンにある旧王宮前広場で開かれた市民グループ「民主主義と平和のための運動」の第4回目の市民集会でも、ますます明解に共和制を求める発言が目立った。昨日の市民集会では、人権活動家のクリシュナ・パハリが主賓だった。集会のあいだじゅう、黄色い服を着たパハリ氏はステージとなった寺院の石段に座り、最後に演説をした。集会のテーマは、先日、死んだ牛をゴミ箱から担ぎ出すコイララ党首を風刺したカートゥーンを掲載したために、「カンティプル」紙と英字紙「The Kathmandu Post」の編集長と発行者を政府が処分することを公にしたことに抗議するものだった。著名な演劇集団「アロハン」のパフォーマンスから始まり、前回と同様に詩の朗読、歌、そのあいまに各界の知識人の演説が入る。パフォーマンスの最後は、市民集会ですっかり人気となったアルジュン・パラジュリの詩の朗読だった。鋭い政治批判をエッセンスにしながら、長い髪に広い額の独特な風貌、そして、ユーモアたっぷりの文句と口調で、度々会場から爆笑の渦が沸く。このあとに最後の演説をしたクリシュナ・パハリは、国王が国連総会に出席するためにニューヨークに向けてカトマンズを発つ9日、ナヤバネスワルに集まって国王の国連総会出席に反対する抗議の集会を開くことを宣言した。この市民グループはカトマンズ盆地内だけでなく、先日から、地方行脚も始めている。主催者のDr.ディベンドラ・ラジ・パンデやDr.マトゥラ・プラサド・シュレスタ、シャム・シュレスタらが数人ずつのグループで、ビラトナガルやネパールガンジなどですでに市民集会を開いた。パラジュリ氏によると、彼を含めたグループは今日からブトゥワルとダン郡で集会を開くためにカトマンズを出発するという。市民グループと政党による運動はどうやら、思ったよりも早い速度で盛り上がるかもしれない。
 
   
2日のパタンでの市民集会で、グループの主催者Dr.ディベンドラ・ラジ・パンデ(左)とネパール弁護士連合のシャムブー・タパ会長(右)。中央の人がもっているのは、問題の「カンティプル」紙に掲載されたカートゥーン。   2日の集会でパフォーマンスを披露する演劇集団「アロハン」   2日の集会の主賓クリシュナ・パハリ(右)と、左翼系歌手ラメシュ。



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