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APNシンポジウム
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なぜ受信料を払うのか
徹底討論・「NHK新生プラン」を問う


日本の放送の公共性は、いま、未曾有の危機にあります。

今年1月の朝日新聞の報道と長井暁チーフプロデューサーの内部告発により、4年前、NHK教育テレビで放送されたETV2001「問われる戦時性暴力」の番組改変で、安倍晋三氏ら複数の自民党政治家が政治的圧力をかけていたことが明らかになりました。ところがその後、NHKは逆に報道が朝日新聞の「誤報」であるかのように論点をすり替え、海老沢会長辞任後も、政治家への事前説明を「通常業務の範囲内」とする見解は改められていません。

他方、プロデューサーによる番組制作費の着服など多数の問題が露わになったNHKに対し、受信料の支払い停止・拒否を宣言する動きが全国的に広がっていきました。

世論の批判にさらされ、4月にはNHKの理事全員が交代して新体制がスタートしました。新体制は9月、「NHK新生プラン」を発表しましたが、その内容で新しいのは、職員の1割削減案と裁判所を通じた受信料の支払い催促の検討という組織防衛的なものだけで、何ら公共放送の具体的な将来ビジョンは示されませんでした。

さらに9月には、これまで安倍氏らの政治的圧力を究明してきた朝日新聞が、自らの報道姿勢を自己否定するような決着のつけかたをすることで、問題をさらに深刻化させてしまいました。

現在の状況は困難です。しかし、私たちはなおこの国に「公共放送」が不要であるとは考えません。この春のフジテレビとライブドアの一件でも、現在問題になっているTBSに対する敵対的買収の動きにしても、巨大な資本の無責任な流れのなかで、私たちの社会の公共性や言論の根本が激しく揺らいでいることを危機として受けとめています。私たちは、このような動きに対抗し、メディアの公共性を守り、再生させていくことこそ必須の課題であると考えています。

現在、全国各地で諸々のNHKの問題を放送の公共性の危機として受けとめる市民やジャーナリスト、メディア研究者たちの活動が広がっています。そこで私たちは、この4月に「放送の公共性の〈いま〉を考える全国連絡協議会」(放公協)という連絡協議組織を立ち上げ、諸グループ間の情報の共有化を図るべく努めてきました。

今回は、この全国連絡協議会とメディア研究者グループが中心になり、NHKにおける「受信料」と「政治介入」という2つのテーマを核に議論を展開します。まず第1部では、NHKによる「新生プラン」に焦点を当て、第2部では「受信料」を、第3部では「政治介入」を集中的に論じていきます。そして第4部では、これらを総括しながら私たちが求める公共放送の姿を示していきたいと思います。

現状への幅広い危機感から、市民とジャーナリスト、研究者、諸団体が、世代や立場の差をこえて結集するシンポジウムです。
  
                                                    「シンポジウム開催の趣旨」より



 
第1部 「NHK新生プラン」をめぐって  >>>Movie
司会:野中章弘(アジアプレス)/岩崎貞明 (メディア総研)







放送制度崩壊の危機と公共放送の使命   桂 敬一(立正大学) >>>Movie

1.小泉構造改革「官から民へ」「民間でできることは民間で」の流れにどう対抗するか
2.放送受信料制度と個別通信サービス利用料金制度とを、ごちゃ混ぜにしてはならない
3.放送の政治からの独立、公共性確保の実現は、市民・視聴者との不断の対話を通じて

●まっすぐ真剣??? 制作現場や視聴者の願いとすれ違っていませんか 小滝一志(放送を語る会)

1.「政治家への番組内容の事前説明はやめる」「編集と経営の役割分担を明確にし、番組編集段階では国会担当役員など制作現場以外の管理職の干渉・介入を許さない」明確な約束を 〜放送の自主・自律に関して〜
2.強制でなく信頼にもとづいた「受信料制度」の維持を 〜受信料の公平負担に関して〜
3.労働者・制作現場へのしわ寄せをやめ、地上デジタル化などは見直しを 〜組織や業務の大幅な改革に関して〜


第2部 受信料制度はどうあるべきか

司会:野中章弘(アジアプレス)/岩崎貞明 (メディア総研)

● NHK受信料支払い停止運動の会の視点から   醍醐 聰(NHK受信料支払い停止運動の会)>>>Movie

1.受信料は放送の独立性を担保する財政的基盤
2.民放の言論報道番組にも受信料を配分すべき
3 .義務としての受信料と権利としての受信料


●今のままでは、NHK受信料支払いの法的強制はできない
                      澤藤統一郎(報道・表現の危機を考える弁護士の会)


1.「良心的軍事費負担拒否」納税者は防衛予算分の税金負担を支払拒絶できなくてはならない
2.「納税者基本権」納税者は、主権者としての権能において戦費支出差し止め請求権を有する
3.NHK受信料支払拒否の思想と、運動上の有効性と、契約法上の実践理論との関係


●崩壊してしまったNHK受信料制度   服部孝章(メディア総研)

1.支払い拒否(契約拒否)=NHKへのチェック機能
2.「あまねく」放送文化に貢献しているか?
3.放送法の抜本的な改正(新放送通信法)の必要


●公共放送と視聴者への約束   石川明(元関西学院大学)

1.視聴者との約束は、番組の編成方針と重点項目を具体的に提示することが中心である
2.NHKの“約束”評価は、一般企業の業績評価の専門家にその“評価”を依頼している
3.ドイツでの視聴者像:情報によく通じている、成熟した公衆だけが民主的な社会を支える



 
第3部 政治介入と公共放送
司会:吉見俊哉(東京大学)/吉田俊実(東京工科大学)




●政治的圧力とジャーナリズム   原寿雄(元共同通信) >>>Movie

1.政治的圧力とは何か。密室で行われる政治介入は、当事者が認めない限り立証が難しい
2.自主編集とは何か。番組や記事の改変は、どんな場合でも「自主編集」と言うことができる
3.権力者は常にジャーナリズムの監視対象でなければならない。その逆を許してはならない

●ETV2001改変と政治介入    魚住昭(ジャーナリスト) >>>Movie

1.「黒幕は誰か」
2.「計算された政治圧力?」
3.「朝日の劣化」

●番組改ざんの原点を忘れない   中野敏男(メディアの危機を訴える市民ネットワーク)

1.政治介入事件とは、NHKの内側からそれに呼応し同調した、自主規制‐番組改ざん事件もあった
2.番組改ざん事件の過程で起こった構造的な人権侵害を忘れてはならない
3.番組制作現場の編集責任とそれを支える開かれた論議を

●政治介入の素地はメディア側によって用意された   石井長世(日本ジャーナリスト会議)

1.視聴者重視と言いながら、依然改まらないNHKの政権党への気兼ね
2.歴史認識を回避、タブー視するメディアの横並びの姿勢は、介入許す格好の条件
3.メディア間の分断、孤立化の状況を脱し、連帯めざす道をどう探るか



第4部 
私たちが求める公共放送
司会:吉見俊哉(東京大学)/吉田俊実(東京工科大学)

●公共放送は公共意識を作れるか   吉岡忍(作家) >>>Movie

1.「公」でも「私」でもない「公共圏」
2.報道だけが公共ではない
3.「自主自律」ではなく「自主自立」を

●NHKの改革には何が必要か   大石泰彦(東洋大学)

1.自己完結型公平・公正の限界:抑止できない総務省・政治家のコントロール
2.参加型公平・公正への転換:さまざまな視聴者参加ルートの確立を
3.外部参加と内部参加:NHK内部の制作者・ジャーナリストの参加も必要

●市民社会の公共放送とは何か   津田正夫(市民とメディア研究会)

1.公共放送として広がる市民メディア
2.マスメディアと市民メディアの公共性/補完性
3.コミュニケーション資源の再編を

●市民に何が提案できるか?   細井明美(NHK受信料支払い停止運動の会)

1.インターネットの発達により、いまや国境を越えて世界中の情報が入手できる時代である
2.しかし情報格差は社会の二極文化を促進する。だからこそ公共放送が私たちには必要なのだ
3.放送法の原点に戻って公共放送の自律を求めるが、それでもNHKが権力におもねるならば私たちは安価で入手しやすい新たなメディアを創設するべきだろう




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